解雇について

11月18日に営業部長から口頭で、12月20日付けで解雇する旨の通知を受けました。
解雇の理由としては、先日来申し入れをしてきた未払いの残業代の支払いについて、全額支払う事になったが、今後は残業代を見込む必要が出て来るため単価が高くなり過ぎて雇用できないという内容でした。


 以下に、これまでの経緯と、会社の就業規則等に関する疑問点等と解雇に関する見解を述べます。

まず、これまでの経緯を説明しますと、大きく3段階に分かれます。
第1段階:過去の残業代の精算をお願いした段階、
第2段階:精算には応じて頂いたが、算出方法に疑問があり検討をお願いした段階、
第3段階:全額支払うとの決定と解雇の通知です。

第1段階
 8月にFCT長野での勤務を開始するにあたり、36協定の内容の開示をお願いした事から始まります。
 後日、36協定の内容は開示して頂いたのですが、その際に総務課長に、
「これまでは”月給制”という呼び名で、マネージャクラスは固定給のみで時間外労働に対する賃金を頂けていないが、これは労働基準法に反するのではないか。ついては過去の未払い残業代の精算と制度の是正をお願いしたい。」と申し入れを行い、検討する由の回答を得ました。

 その後、9月に入ってもその後の反応が無いため、10月に改めて申し入れを行った所、私の契約を現在の月給制から日給月給制に変更するとの回答がありました。
 これは単に「残業代を支払って欲しいから日給月給制に変更して欲しい」という申し入れだとの誤解であり、私の趣旨は、「固定給という制度であっても、時間外労働に対しては残業代を支払う必要があるので、制度を改めて欲しい」という点と「過去の未払いの残業代について支払って欲しい」という2店である事を再度説明した。

第2段階
 後日、総務課長が労働基準監督署に相談した結果を受けて、支払う方向での提示を頂きました。
その内容は、

  1. 現在の月給制・日給月給制という区別を廃止して、一般的な月給制として、時間外労働に対しては残業代を支払う事とする。
  2. 新月給制の場合、変形労働時間制度の基準である173.8h未満の月に関しては、日々の残業が発生したとしても月の総計が173.8h未満なら残業と見なさい。(これは従来の日給月給制と同じ)
  3. 休日・祝日で月の稼働時間が173.8h未満の月は給料を差し引いても良いのだが、これまでは差し引く事はしていないのでそのままとする。
  4. 過去2年に遡って、時間外労働に対する賃金を支払う。ただし、過去の残業代の精算に関しては、173.8hに満たない月は、不足分を残業時間からマイナスする。

と言う内容でした。

1と2については、就業規則にも明記されていない為、不明確であり明記するようにお願いした。
3については、これも”社長のお考えで”という事だったが、どこにも記載されていないので、就業規則に明記するようにお願いした。
4に関しては、3を踏まえて私以外に月給制で固定給を頂いている社員にも、同じ制度が適用されるため、残業のない社員からは、既に支払った給与からマイナスする事になりつじつまが合わない。とお伝えした。

1,2,3に対する申し入れについては、制度を改めて11月中に就業規則の見直しを行い、全員が同じ制度に移行するとの回答を頂きました。
これで、私の申し入れの1点目「月給制の制度を是正して、残業代を支払う事」は、いびつな結果ではありますがある程度満たされた事になると思っていますが、12月に入った段階でも、就業規則の改定に関する通知が行われていません。
本来なら、固定給制度を明記した上で、規定の中に「労働時間の下限時間から上限時間までを対象とする」といった文言があれば済む話だと思っていましたが、固定給を廃止するという結果になりました。

第3段階
上記の4に関して、労働基準監督署に問い合わせを行ったところ、残業代の支払いに関して173.8h未満に対してマイナスする事はあり得ないとの回答を頂き、その旨を総務課長に伝えたところ、再度労働基準監督署に相談してみるとの答えでした。

その後、18日に営業部長から、未払いの残業代については全額支払う方針になったが、今後、新しい受注があっても残業代を支払う事を考慮すると単金と見合わないため、解雇する旨の説明があり、その後に、総務課長から未払いの残業代について全額支払うとの回答を頂きました。

以上が、これまでの経緯の概略です。

今回の一連の話の中で、幾つかの疑問点があり、今後改善して頂く必要があると思っています。

1.就業規則について
 おそらく、社員の中で、上記のような固定給制度がある事をしなかった社員も居るのではないでしょうか。あるいは173.8hという基準時間と残業代の関係について漠然と捉えていた社員も居るのではないでしょうか。
 そもそも、就業規則の制定・変更には、「労働者の半数以上を代表する者に対して説明を行う」事が定められているのですが、誰に対して行われたのでしょう。

また、就業規則には、

(労働時間および休憩時間)
 第6条
 会社は、労使による1年以内の期間の変形労働時間制の協定を締結し、協定期間において、1週の所定労働時間が40時間を超えない範囲で、特定の
 週において40時間、特定の日において8時間00分を超える、変形労働時間制度による勤務とする。
^^^^^^^^^^^^^^^^
 (2)起算日は毎年4月1日とする。
 (3)第1項の勤務制度は、新たに労使の書面による協定を締結し実施する。
  ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
 (4)1日の勤務時間は8時間00分とする。
 (5)始業。終業の時刻および休憩時間は、次のとおりとする。
   始業時刻 8 時 45 分
   終業時刻 17時 30 分
   休憩時間 12 時 00 分から 12 時 45 分まで
 (6)前項の規定にかかわらず、業務の都合やその他やむを得ない事情により、始業・終業の時刻および休憩時間を繰り上げ、または繰り下げることがある
 (時間外労働)
 第12条 業務の都合により所定時間外に労働を命じることがある。
  (2)法定の労働時間を超える時間外労働は、所轄労働基準監督署長に届け出た従業員代表との時間外労働協定の範囲内とする。
  (3)時間外、深夜労働を行う者は、事前に会社所定の申請書で所属長に申請を行い、所属長の承認を得なければならない。
   ただし、業務上の都合により事前申請が困難な場合のみ事後申請を認めるものとする。
  (4)満18歳未満の者については、法定の労働時間を超えて労働を命じないものとする。
 (休 日 労 働)
 第13条 業務上必要がある場合には、第9条の休日に労働を命じることがある。
  (2)労働基準法で定める1週1日の休日に労働を命じる場合は、所轄労働基準監督署長に届け出た従業員代表との休日労働協定の範囲内とする。
  (3)従業員は自らの判断で第1項の勤務を行う場合は、事前に所属長の指示あるいは所属長申請し承認を受けなければならない。
   なお、承認を受けない勤務については、賃金を支払わないことがある。
  (4)満18歳未満の者については、労働基準法で定める1週1日の休日に労働を命じることはない。
 (割 増 賃 金)
  第14条 第11条、第12条又は前条による時間外労働、休日労働又は深夜労働に対しては、第6章の定めるところによって割増賃金を支払う。

となっていて、詳細は第6条3項にあるとおり、別途、労使間での協定に従う事になっていますが、誰が、何時、どのような協定を締結したか、私は認識していません。
173.8時間という就業時間に関する制限と時間外労働の上限については、36協定内に数値が示されていますが、所定時間外の算出方法は別ものです。
第12条には所定時間外とはありますが、計算方法は明記されていません。
また、第6章賃金には、時間外の算出方法は示されていますが、ここでも所定時間外の算出方法は明記されていません。

(割 増 賃 金)
 第46条 所定勤務時間を超えて又は休日に勤務した場合には時間外勤務割増賃金又は休日勤務割増賃金を、
    深夜(午後10時から午前5時までの間)において勤務した場合には深夜勤務割増賃金を、それぞれ次の計算により支給する。
    ただし、労働基準法第37条第4項に掲げる賃金は算入しない。
1.時間外勤務割増賃金 = (基本給+諸手当/1カ月平均所定労働時間) ×1.25× 時間外労働時間数
2.法定休日勤務割増賃金 = (基本給+諸手当/1カ月平均所定労働時間) ×1.35× 休日労働時間数
3.法定外休日勤務割増賃金 = (基本給+諸手当/1カ月平均所定労働時間) ×1.25× 休日労働時間数
4.深夜勤務割増賃金 = (基本給+諸手当/1カ月平均所定労働時間) ×0.25× 深夜労働時間数
(2)所定時間を超えて、又は休日に勤務した時間が深夜に及んだ場合は、それぞれ、時間外勤務割増賃金又は休日勤務割増賃金と
深夜勤務割増賃金を合計した割増賃金を支給する。


 一見、この規則だけで判断すると、日々の勤務で8時間を超えた部分の合計が時間外労働時間のように思えますが、変形労働時間制度によるため、月の労働時間の合計が173.8hを超えた部分だけが時間外労働時間に換算されるとしています。
そして、173.8hに満たなかった場合はどうなるのかは記載されていません。

2.36協定について
 時間外勤務を命ずるに当たっては、労使間で協定を結ぶ必要があり、それを通称36協定と呼びますが、この36協定に関しても、就業規則と同様に 「労働者の半数以上を代表する者」の印鑑が必要ですが、現在はどなたがどのような権限を持って印を押されているのでしょう。
 先日提示頂いた書面では、総務の山口さんの印鑑が使われていましたが、山口さんは何時「労働者の半数以上を代表する者」となったのでしょうか。

3.”社長のお考え”ではなく規約にするべき
 マネージャクラスは駐車場代を会社が支払う、月5,000円までの範囲で接待や部下に対する飲食費の支払いを認める、個人の都合でも月5日程度は休んでも給与は減らない、鹿児島の実家で在宅勤務を行う際の旅費はある程度出張旅費として請求出来る等々、就業規則に明記されていない「社長のお考え」 が多く存在していて、その都度「社長のご厚意に感謝」しなくてはなりませんが、本来、これらは就業規則に明記され恣意的に運用されないようにすべき事柄ではないかと思います。


最後に、解雇について、考えている事を記します。
 今回の解雇について、現状の受注状況を考えると、単価が高くなり過ぎるという解雇の理由は、一見もっともな理由に思えますが、受注状況と解雇権の行使とは直接の関係は無いと思っています。

 少なくとも、これまで残業代を支払っていなかった状況を是正した事と、単価が高くなり過ぎる事は別です。
例えば「固定給に20時間分の残業代を含む」といった内容の規定を追記するだけで、固定給と残業代問題の是正が出来るため、「単価が高くなり過ぎる」という主張は成り立ちません。
また、受注状況が悪化していて整理解雇を行うにしても、それは希望退職や休職による雇用助成金の給付を受けるなどの対策を取った上での話では無いかと思います。
そのような雇用を継続しようという姿勢なしに、いきなり解雇という手段を取られた事は残念に思いますし、解雇権の乱用だと感じています。

 そもそもが、これまで月々に支払うべき残業代を支払ってきていなかった事が問題なのであって、私の単価は元から残業代を含んだ物であるべきです。また、これまでの案件では想定以上の時間外が発生した場合には、お客様にその分の支払いをお願いして、支払って頂いている部分があるはずで、一概に不採算になるとは言い切れ無いはずです。
 さらに、最初に残業代を支払う事を承諾して頂いた時点では、「12月20日以降の作業がない場合には、休職扱いになり給料が減るから、日給月給制になるのは不利ではないか」といった事も言われていたのですが、単価の問題にも解雇の話にも言及はありませんでした。
 もし単価が高くなる事が解雇の理由だとしたら、この時点で解雇に関する言及があってしかるべきかと思いますが、実際は上記の通りです。
 だとしたら、解雇という考えはどの時点で発生したのでしょうか。
 もし、未払いの残業代を全額支払うという決定と同じ時点で行われたとしたら、その決断には「未払いの残業代を支払う代償」という意味合いがあるのではないかと邪推したくなります。

このような点から、私は今回の解雇について、不当な解雇権の乱用であり、無効であるとして、労働基準監督署による仲裁もしくは裁判による裁定をお願いしたいと思っています。


備考:変形労働時間制について、ネット上の情報を転記します。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/053.htm

■変形労働時間制

労働時間は1日8時間、週40時間以下と決められていて、これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となるのが原則です。時間外労働になれば当然時間外手当の問題が生じてきます。

業態によっては、上記法定労働時間が業務にそぐわない場合があります。例えば、1ヶ月のうち前半はめちゃくちゃ忙しいが後半はほとんど仕事がないくらい暇だとか、あるいは1年のうち夏は忙しいけど冬は暇だとか。また1週間のうちでも忙しい時と暇な時がある業種もあります。また、24時間をカバーする交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。これは使用者にとって有利な制度ということができます。

【1ヶ月単位の変形労働時間制】

1ヶ月以内の一定期間(1週でも4週でも構わない)を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。


《合計で週40時間を超えなければ時間外とならない例》

月曜日:休日
火曜日:7時間労働
水曜日:7時間労働
木曜日:7時間労働
金曜日:休日
土曜日:9時間労働
日曜日:9時間労働
(合計週40時間)

《平均して週40時間を超えなければ時間外とならない例》

第1週目:40時間
第2週目:38時間
第3週目:38時間
第4週目:44時間
(合計160時間、平均すれば週当たり40時間)

1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定または就業規則等に定めをして、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。(労基法第32条の2)

【1年単位の変形労働時間制】

1ヶ月を超え1年以内の期間を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。

1年単位の場合には、1ヶ月単位の変形労働時間制より細かく規定されています。

・1日の上限は10時間まで
・1週の上限は52時間まで
・1週48時間を超える設定は連続3週以内
・対象期間を起算日から3ヶ月ごとに区切った各期間で、週48時間を超える 週は3回以内

1年単位の変形労働時間制を採用するに、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合に比べやや厳しく、必ず労使協定を締結して、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。

【連続労働の限度】

連続して労働させることのできる期間は原則6日です。労使協定で特定期間を設け、その期間では週に1回の休日を与える範囲で例外とすることができます。(例えば1週目の初日と翌週の最終日を休日とするなど)